/ 2015年6月15日月曜日 / No comments / 起業志民への道
起業失敗=リスクではない?シリコンバレーから学ぶリスクとの向き合い方
日本で起業家が育たないと言われる理由は「失敗は許されない」というプレッシャーです。その結果、両極端の考え方が生まれます。一つは「失敗は許されないなら、起業しない」という見方、もう一つは「リスクが限りなく少ない業種で起業しよう」という選択肢です。結果として斬新なアイデアに溢れたイノベーターは皆無になります。
イノベーションの根源はクレージーな起業家がいるかどうか
今や伝説になっている、スティーブ・ジョブズが2005年スタンフォード大学のスピーチで語った一言「stay hungry, stay foolish」というフレーズがあります。スピーチ全体からこの語の意味を推測すると「現状に満足することなく、恐れずに己の道を進め」ということになるでしょう。ジョブズは決して「馬鹿をする」ように勧めていたわけではありませんが、角度を変えると、起業するということは周りからみると「安定を捨ててリスクを求める、馬鹿げたこと」なのかもしれません。
しかし、ジョブズやザッカーバーグなどの例を見ればわかるように、世の中を変えるイノベーションは「クレージー」な人から生まれます。もちろん、私たちが彼らほどの変化を世の中にもたらさないとしても、組織から離れて、新しいことをしようとすることには反対がつきものですし、すべての人から支持されるわけではないことは当然でしょう。
支持してくれる人を探すならリスクを軽減できる
だからと言って「支持してくれなくて結構、我が道を行く」では、ビジネスとして成り立ちません。起業にはどうしても投資が必要で、支持者がいなければ、お金が集まらないからです。それで、大切なことは起業時に「クレージー」起業家にお金を出しても良いというベンチャーキャピタルやエンジェルと呼ばれる個人投資家を見つけることです。そして、逆に言えば、それらの投資家の支持を得ることができたなら、結果的に起業が失敗したとしても、恥じる必要はないのです。
シリコンバレーでは、失敗から学ぶことこそが評価される
シリコンバレーでは「恩返し(pay it forward)の文化」があると言われます。つまり、先輩起業家は自分の失敗を後輩に伝えて、アドバイスすることが当然であるとされているのです。その文化の根底には「失敗から学ぼう」という積極的かつ楽観的な姿勢がみてとれます。
残念ながら、日本であれば、他の人の失敗は笑い、自分の失敗は隠そうとするのが一般的ではないでしょうか。アベノミクスが起業を政策として推し進めようとしていますが、もっと根本的な問題は起業家の側の意識を根本的に変えることです。
おわりに
全国的なファミリーレストランチェーンの「すかいらーく」の創業者、故・茅野亮氏は「新規事業は失敗を恐れてはできない。手がける仕事の10分の1も成功すればいい」と述べました。もし、彼が手がけたことの10分の9の失敗に目を向けていたら、「ガスト」も「バーミヤン」もなかったかもしれません。起業の失敗をリスクと捉えるのではなく、失敗を恐れることこそリスクといえるのです。
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