/ 2015年5月25日月曜日 / No comments /

地方創生と起業


2015年2月に安倍首相は施政方針演説で「地方にこそチャンスがある」と述べ、具体的な施策として、若者の地方への移住や、そこでの起業を後押しすると強調しました。

この地方創生は現在起業を考えている人たちにとって大きなチャンスを与えてくれます。その理由は、地方には起業に必要な「天・地・人」が揃っているからです。

起業に必要な三つの要素

中国古来より、この世は三つの関係から成り立っていると考えられ、何か物事を成し遂げるのには、「地の利」、「人の和」、「天の刻」が必要であると言われてきました。起業においてもそれは然りで、どの土地を選ぶか、どんな人材と一緒に働くか、そして起業にふさわしいタイミングを選ぶことが不可欠です。

地方創生と「地の利」

起業の際に本拠地をどこに置くか考えたときに、多くの方たちが思いつくのは東京や大阪といった大都市でしょう。確かに大都市を中心に活動するのはインフラが揃っていること、交通のアクセス、顧客の便利さなど多くのメリットがあるのは確かです。

その反面、賃料などの固定費を含めてコストがかかり過ぎること、競争が厳しくて軌道に乗るまでの体力消耗が激しいというデメリットもあります。

それに対して、地方であれば、東京23区の3分の1から5分の1のコストでオフィスを借りることができますし、地方創生の政策の一環として、自治体が積極的に補助金や融資をしてくれるところもあります。

また、地元のライバル起業も少ないため、地元の人たちから支持されやすいという利点も挙げられます。

地方創生と「人の和」

「地の利は人の和に如かず」という孟子の言葉があるように、いかに地の利が優れていても、起業の際に人材が不足していれば、成功は望めません。この点、大都市には優秀な人材が集まりやすいため、地方はどうしても不利、と考える方は多いと思います。

しかし、それはあまりに安易な発想と言わざるを得ません。なぜなら、大都市にはすでに企業価値の高い会社が集中しているため、人材はどうしてもそちらに流れてしまいます

また、ベンチャー企業の中でも人材獲得競争は必然的に厳しくなります。せっかく優秀な人材を得られたとしても、成果が出なければ、すぐに離れられてしまう可能性も高いのです。

その点、地方であれば、選択肢が限られるため、そうした人材の流出を抑えることができます。また、地方では新卒採用が少ないため、地元の大学から効率的に人材を獲得できるという利点があります。

地方創生と「天の刻」

個々の企業にとっていつが「天の刻」、つまりいつがビジネスチャンスかは、起業家の経営判断によるところが大きいですが、安倍政権が地方創生を推し進めているこの状況は地方での起業を考えている人にとっては「天の刻」であることは確かです。このチャンスを逃すべきではないでしょう。

おわりに

「起業するなら、人とモノが集まる大都市」という時代は終わりつつあります。この時代の流れをよく見極めて、地方での起業という選択肢を多くの起業家がとり始めています。

もちろん、起業を成功させるためには、地方でのビジネスモデルをしっかりと確立させる必要がありますが、逆に言えば、良いアイディアや魅力的なビジョンがあれば、潤沢な資金がなくても起業が可能な時代になった、とも言えるでしょう。

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